不動産登記申請やってみた

2022年3月3日木曜日

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親族が亡くなり相続に伴う不動産登記申請をしなければならないとなったとき、あなたはプロである司法書士に依頼するか、それとも自分で手続きをするか、どちらを選択するだろうか。私は最近登記手続きを体験した身として、後者を強く推奨したい。司法書士へ依頼した場合の発生する数万円の手数料と、申請手続きに費やす数時間の作業時間を天秤に掛ければ、後者の方が得であると思う。一昨年の夏に父方の祖父、その半年後に祖母が亡くなり、土地と実家の所有権を父に移転する登記手続きが必要となった。私が担当することになったきっかけは、親のちょっとした一言であった。当初親は司法書士に依頼する予定だったが、私が法学部出身だからなのか「せっかくだからやってみない?」とノリで言ってきたのだ。少し考えた結果、「不動産登記やったことあるって言えるのかっこよくね?」という理由だけで引き受けることにした。かかった作業期間としては数週間程度で、平日の仕事終わりの時間や休日の暇な時間に少しずつ進めた。まとまった時間が確保できれば、一週間程度で終わるはず。


実は、登記申請は専用のシステム「登記ねっと」をインストールすることでオンラインで一連の手続きを行うことができ、今回はオンライン申請を採用した。添付書類の郵送は必要であるものの、申請書本体の作成と提出はPCの中で完結するため、一から書面で作成するよりは圧倒的に楽だ。登記申請の目的に応じて申請書のフォーマットがあらかじめ用意されており、基本的に各項目を埋めていけばよい。ただし、添付書類は申請の内容により細かく変わってくるため、事前に十分調べることをオススメする。今回は遺言による相続のため、登記原因の証明情報として被相続人の遺言書が必要であったが、遺産分割協議による相続では遺産分割協議書の添付が必要だ。相続による不動産登記で共通で必要になるのは、被相続人と相続人の戸籍謄本と住民票、土地と建物の評価額を記載した固定資産証明書あたりである。これらは登記所へ郵送が必要であったり、一部PDFで電子ファイル化しての添付を求められるため、役所で事前に取得することになる。それから、今回のように相続人である父に代わって息子が代理で申請する場合は、代理人が行う手続きが間違いなく本人から頼まれたものであることを証明するために委任状も必要になるが、これは登記ねっと上で秒で作成できる。


ただ、今回のケースは通常の手続きに比べて複雑な点があった。祖父から祖母への相続分だけであればシンプルなのだが、その手続きを行う前に祖母が亡くなってしまったため、祖父から祖母への相続および祖母から父への相続を一度で完了させる必要があった。このように、被相続人が死亡した後、その手続き前に相続人が死亡して次の相続が開始される状況を数次相続という。ということで①祖父から祖母への相続②祖母から父への相続の2件の申請書を作成した。この数次相続では1点ポイントがある。登記手続きでは登録免許税と呼ばれる税金を納める。数次相続では、一次相続における土地の所有権移転の登記に限って免税対象としている。今回の場合、祖父から祖母への土地の所有権移転については税が0円となるわけだ。ちなみに手続き後に知ったのだが、この免税措置の適用期間は今年の3月いっぱいまでという。この期間を過ぎていた場合、追加で10万円以上登録免許税が発生していたので非常に幸運であった。


オンライン申請特有の作業として、電子署名がある。申請が間違いなく本人の意思で行われたのかを確認する方法として、書面では印鑑、オンライン申請では電子署名が運用されている。電子署名の手段はいろいろあるが、今回はマイナンバーカードを使用した。PCに読み込むためのカードリーダーが必要になるので事前に購入しておいた。相続人と代理人(申請者)のマイナンバーカードで2名×2件の電子署名を行えば、いつでも申請書を送信できる状態となる。ちなみに、マイナンバーカードのパスワードを忘れてしまっていたので、再発行手続きのためだけに市役所に行く羽目になった。申請書を登記所へ送信すると自動で受付、審査に入る。その間に登録免許税の電子納付と添付書類の郵送を行う流れとなる。数営業日すると完了連絡とともに登記完了証が発行され、手続きは終了となる。


ちなみに、紹介した登記ねっとはシステムとしては残念であることを述べておく。まず挙げたいのは、動作が不安定であることだ。作業期間、一時保存した申請書を選択しても画面が固まり操作不可となる事象が3回程度発生した。窓口に問い合わせても対策としてはシステムの再インストールをする他ないとのことで、非常にストレスが溜まった。2点目として、オンラインの時間帯が限られていることを挙げる。登記ねっとでは、申請書の作成はいつでも行えるが、申請書の送信や不動産の検索は平日の午前8時30分~午後9時に限られる。申請書の送信だけのために平日の仕事終わりに私用PCを起動するのは気が進まなかった。今時オンライン時間帯を限定しているのは何とも不便である。デザインも残念なのだが、もともと役所のシステムにその点は期待していなかったのでいいとしよう。必要最小限の機能さえ揃っていればいいという前提で作ったと想像している。


実家がマイホームであれば、親が亡くなったときに相続に伴う不動産登記手続きは必ず発生するので、今のうちに経験できたのは良かったかもしれない。法学部出身ながら法律の知識がボロボロの私でも問題なく手続きができたので、不動産登記の実務のハードルは高すぎる訳ではないということが伝われば幸いである。


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社会人6年目のシステムエンジニア。 レールのど真ん中を歩く人生。

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